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 廃タイヤ処理 従来通りの引き取り可能
トラック事業者などが事業用として使い古したタイヤの処理方法が変更されるとして、ちょっとした騒ぎになっている。もっとも、タイヤ販売店との処理費用の授受を工夫すれば、これまでの商慣習と変わりなく処理できるという。

 日本自動車タイヤ協会などによると、4月から廃タイヤの処理方法が変わる理由は、産業廃棄物広域再生利用指定制度(以下、広域指定制度)と呼ばれる制度が廃止されるからだ。従来、トラック事業者など廃タイヤの排出者は、産業廃棄物として廃タイヤを販売店などに引き取ってもらっていた。

  この際、全国に約13万店あるといわれる販売店は、産業廃棄物収集運搬の許可を持たずに運搬することができる法の枠組みになっていた。

 しかし、こうした枠組みがなくなり、4月から制度が変わった。具体的には、販売店が産廃収集運搬許可を持たなければ廃タイヤを引き取ることができなくなってしまった。

 販売店による収集運搬許可の取得は進んでいるのか。大阪府自動車タイヤ販売店協会によると、取得が目立って進んでいる状況は見受けられないという。

 販売店が廃タイヤを法的に扱えなくなると、トラック事業者などは、収集運搬事業者と別個に契約を結び、みずからマニフェストを発行しなければ、法的に適正とされるやり方で処理できない。つまり、タイヤの購入・処理とも販売店を窓口にできていたものが、購入は購入、処理は処理となってしまう。あるトラック事業者は、「車のような大きなものだって販売する会社が引き取りもできる。タイヤだけ別々になるのはおかしい」と指摘する。

 そこで一部のタイヤ販売店などがトラック事業者など大口顧客に触れ回っているといわれているのが、処理費用込みの販売形態だ。あるトラック事業者にも先日、販売店の担当がやってきて次のように説明したという。「タイヤの販売価格に処理費用を上乗せして販売すれば、これまで通り引き取ります」。

 トラック事業者は、「廃タイヤのマニフェストを発行できるのは、トラック事業者など排出者だけになるはずなのに...。新しい制度の体系がよく分からない」と話す。

 これについて日本自動車タイヤ協会などは、処理費用を販売時にやり取りする形にし、引き取り時に無償であれば販売者が排出者になることができる、などと説明。つまり、排出者以外にもマニフェストが発行できるということだ。あるトラック事業者は、「法的には、1本も廃タイヤを出していない運送会社があることになってしまう」と苦笑する。

 事実上の「法の抜け道」が、このようにすでに喧伝されている状態だ。日本自動車タイヤ協会の辻慶則氏は、「家電のリサイクル制度などと同じように、処理費用の縛りをつけてくれるようお願いしたが、環境省に受け入れてもらえなかった。従来でも廃タイヤは適正に処理されていると思っているが、制度が改定されてしまった」と話している。

(11/04/22)



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