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燃料価格が上昇へ 「打つ手」は
 燃料価格が今春以降、上昇の見通しにあることから、運賃の下落傾向に歯止めのかからない長距離・雑貨輸送分野などでは「走っても、採算が取れるかを事前に知ることができない」と、再び「逆ざや」の声が聞かれる。燃料ディーラーとの値段交渉を後決めの月次更改にしていることからくるものだ。燃料費率が大きい長距離輸送分野での逆ざやは2年前の燃料価格急騰期にも発生したが、「燃料サーチャージ」などによる実質運賃上昇分でかろうじて下支えした。今春以降、業界は「再び燃料サーチャージを」といった気勢を吐くことができるのか。  

 長距離・雑貨輸送が主力の小規模事業者によると、契約のあるスタンドでの2月の軽油価格はリッター当たり100円に届きそうな水準に入っていた。3月の正式な数字は月末にもディーラーとの間で決められるが、「(100円の)大台は覚悟しなければならないのでは」と話す。  

 一方、運賃水準は下落傾向に歯止めがかからない状態だ。3月中旬以降は荷動きが好転したが、それでも運賃を下げてどうにか同業者から受注できる水準に留まっている。  

 燃料が上昇局面で決まらないなか、安値運賃を受注するのはダメと分かってはいる。しかし、従業員の給料のことを考えると「日銭稼ぎに走ってしまう」とも。赤字覚悟で給料をひねり出す経営が続きそうだ、と見る。  

 燃料ディーラーによると、春以降の燃料高は毎年の傾向だ。灯油の販売期を終えて元売りが減産するのに加えて、ゴールデンウィークの需要増を見越した経営に切り替わるためだ。しかし、今春はいつもと違った要素が加わるという。

 「元売り各社が国内の供給をしぼる体制を明確にした。需要減を見越した価格維持に走っている」。ガソリンの構造的需要減が見込まれるため、精製過程で出る軽油も減産されるというのだ。  

 運賃と軽油価格がもたらす逆ざやについてある運送事業者は、「トラックの数が多すぎると他人事のように言っていた時期を通り越し、供給過多はいまや各社が自分の問題と捉えている」と話している。 

(10/04/16)

<記事提供:物流ウィークリー


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