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強烈なアルコール臭が…
高速道路に潜む飲酒運転 
 写真は12月2日、山陽自動車道・某パーキングエリア(PA)の自動販売機コーナー。時間は午前4時半で、広い駐車スペースの大半を全国各地のナンバーを付けたトラックが占めている。この時間帯は食堂や売店のシャッターも降ろされ、休憩・仮眠するドライバーが利用できるのは自販機コーナーとトイレくらいになるが、そのわずかな「密閉された空間」に足を踏み入れると、強烈なアルコール臭に襲われた。

 ETC利用で高速道路料金に時間帯割引が適用されるようになって以降、こうした例を何度か体験してきた。長距離を走る場合、通行料金が3割引となる午前零時から同4時の間に高速を出入りする機会が増えたが、自販機コーナーでアルコール臭に驚くケースの大半は、午前零時過ぎに高速を降りる場合ではなく、同4時前に高速に入り、その直後にサービスエリア(SA)やPAに立ち寄った場合だ。

 仕事柄、SAやPAで休憩中のドライバーに話を聞くことも多いが、トラックをノックして、開いたドアから漏れるアルコール臭にビックリすることも少なくない。なかには、ビール缶を手に持ったままドアを開けるドライバーもいる。「(一般道のコンビニなどで)弁当と一緒に買い込んで、こうして仮眠の前に飲む」と説明する運転者がほとんどだ。トイレ横に設置されたゴミ箱に目をやると、入り切らなくなったビニール袋などが散乱し、ビール缶やカップ酒の空き瓶まで転がっていた。

 今年も残りわずかとなったが、全国各地の交通死亡事故件数は前年比で減少しているものの、事故数は増加傾向にあるという。車両の安全性能が向上していることもあって、表向きには重大事故が抑止される形になっているが、一歩間違えれば最悪の事態が飛躍的に増加する状況と背中合わせなのが実情ともいえる。こうした事態を踏まえて各地の警察署では、これから迎える師走の繁忙期に「早朝のスピード取り締まり」「夜間検問」を強化する考えを示唆しているところが目立つ。

 一方、高速道路での飲酒検問はほとんどなく、重大事故となる可能性の大きいスピード道路でのこうした飲酒実態の危険性は極まりない。夜間のSA、PAを巡回する警察車両もあるが、どの人物が、どの車両の中で酒の栓に手を掛けているかまでは見抜けるものではない。本当に怖い実態がある。

 ある警察関係者によれば、「一般道での検問を強化しているが、罰則が強化されて以降も飲酒を検知されるドライバーが後を絶たず、(当署管内では)むしろ増加傾向にある。これは事業用車両のドライバーも例外ではない」という。そのため同署では「午前6時台からのスピード検問と合わせ、呼気中のアルコール濃度のチェックも強化する」と話している。

 専門家の話では「個人の体質によっても違うが、350ミリリットルの缶ビール1本でも3―4時間後にアルコール検知で引っ掛かるケースも少なくない」と説明。続けて「仮に、高速道路で仮眠前にアルコールの摂取が常態化しているとすれば極めて危険。警察当局も今後、夜間のSA・PA、さらにはインター出口付近での検問を実施すべきではないか」と指摘する。

 「過労気味のドライバーの立場もわかるし、仮眠前の1本くらいは…」と話すトラック運送の経営者もいるが、車内で8時間の休憩・仮眠が取れる現状があるわけではなく、それは使用者としての思いやりであるはずもない。スピード・リミッターが装着され、時速90キロメートルしか出ないはずの大型トラックが軽々と乗用車を抜き去る場面は相変わらず多い。職業ドライバーも命がけの仕事だが、高速道路を利用する全ユーザーも命を張って走らないといけない…そんなことがあってはならない。繁忙期を前に、いま一度チェックを徹底したい。   
                         
(05/12/09)
<記事提供:物流ウィークリー


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