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「協会は何をしているのか!」
 「トラック協会は何をしているのか」。トラック運送業界が言葉で示せないほどの非常事態に陥っている。軽油高騰、いや暴騰による燃料費の負担増は企業努力では到底賄い切れない状況で、すでに売り上げの30%を突破した。倒産や廃業が相次ぎ、これまで優等生企業とされてきたところでさえ赤字転落を余儀なくされている。一刻の猶予も許されないなかで、巨大化したせいかフットワークの重さが目立つト協構造に非難が集中している。

 30%を超えた燃料費に従来、およそ40%といわれた人件費、さらに高速道路料金やトラック代、保険料、道路関係諸税、修理代…と、どこを探しても儲けシロは見当たらない。「コンプライアンスが叫ばれるが、守れるものは守ろうとしている。しかし、この業界には守れない法律が多すぎる」と話す広島県の運送会社社長。同社は今春、社会保険を脱退した。一部は会社を去ったというが、「残ったドライバーらは国保加入の手続きを取った」と社長。

 業務請負や、車両持ち込みの格好でドライバーを使う事業者も増えている。「週労働40時間も法律だが、現在の運賃や軽油価格でどうすればいいというのか。もっと現場を見て欲しい」と岡山県の社長。東は名古屋、西は山口までという同社の4トン車の運賃収入は平均で45万円ほどという。このところ3円刻みで値を上げる軽油価格の影響で、すでに社長の愛車は「中古の軽自動車」に変わった。

 一方、「都道府県ごとに数億円から数十億円あるというから一体、全国計ではいくらあるのだろうか」と広島市の社長。軽油引取税の大幅増税と引き換えに毎年、都道府県から地元ト協に給付される交付金を積み立てた近代化基金の話だ。「業界が軽油(税)で倒れそうになっているというのに、その見返りをもらっておきながら、それが業界救済に使えないという。バカバカしくて言葉がない」とぶちまける。

 確かにそうだ。同社長のアイデアは「1000億円を超えるかもしれない各地の基金を集めて、元売りの大口投資家になるとか、トラック業界への燃料販売を対象にした入札をやって、落とした軽油ディーラーに保証金としてドンと渡すとか…」というもの。「難しいことはわからないから支離滅裂かもしれないが、会員の苦しい状況を調査して、上辺だけの行動しか取れないなら会員である意味はない」と続ける。

 確かに、同社長の話は飛躍している点もあるし、ト協の活動が幅広いのも事実だ。しかし、トラックこそ保有しているものの、運ぶ荷物で車両形状も大きく異なり、ト協の活動テーマへの関心も温度差が大きいのが実情。リミッターや排ガス装置に大半のダンプ事業者は無関心だし、バラ緩和の問題もトレーラを持っていない会社にはピンとこない面がある。高速道路料金にしても、ほとんど使わない事業者にとっては、どうでもいいことなのだ。

 ただ、共通の課題がないわけではない。車両の値段、そして軽油価格はすべての事業者に例外のない大きな関心事。「企業ごとの力量差で価格にバラツキがあるのは仕方ないこと」という声もあるが、それはそれ。さらに上乗せで安くなる…と思えばいいことだろう。軽油引取税を一般財源化するという話があるが、それならば名称を変えて船舶や建設機械など、軽油消費の全シーンから徴収すべき。32円10銭が半減するかもしれない…というささやかな希望もある。とにかく、いまこそ、それも大至急で一点集中の全力投球が業界団体に求められているのは間違いない。     
                         
(05/09/26)
<記事提供:物流ウィークリー


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