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 プロドライバー免許 必要か否か、有識者が議論
 「トラックドライバー専用免許は業界にとって必要か否か」。人材不足解消への施策を話し合う会議で議題に上がった、このテーマが話題を呼んでいる。目下の問題解決が先か、それとも中長期的な視点に立った取り組みこそが業界にとって必要なのか。

 「トラックドライバーを安定的に確保するための方策に関する検討委員会」がこのほど、霞が関で開かれた。同委員会は、少子化の影響で労働人口そのものが減少し、今後ますます人材確保が難しくなることが確実な運送業界で、「足元からできること」(座長の齋藤実・神奈川大学教授)を議論。

 4回目の今回は、これまで審議してきた「輸送の安全向上のための優良な労働力(トラックドライバー)確保対策」のとりまとめの骨子案について意見を交わした。

 出席委員は運送事業者や国交省、全ト協はもちろん、労働組合、学校関係者、派遣会社、コンサル、求人メディアなど、各方面から選ばれている。

 骨子案では、「優良トラックドライバーの育成・確保への対策」が中心にまとめられている。具体的には、「業界のイメージアップ」「わかりやすいキャリアアップの提示」「表彰制度などのドライバーの働く意欲へのインセンティブ」「女性や高齢者などの多様な労働力の活用」「ドライバーの質を低下させない方策」など。このなかで、「ドライバー専用免許」と言われる新しい職業資格制度や、優良ドライバーへの表彰制度の新設について、議論が交わされている。

 「ドライバー専用免許」は、米国のCDL(コマーシャル・ドライバー・ライセンス、商業用自動車運転免許証)を参考にしたもの。現行の第一種免許と異なる種別の免許(仮称=第三種免許)を、道交法を改正して創設するという案で、取得対象は事業用トラックを運転するドライバー全員。選定基準は、道交法や改善基準告示など、第一種免許取得時より高度となる。

 委員にも賛否両論あり、「プロ意識が向上し、社会的にも認知されることが期待できる」という賛成意見と、「ハードルが高くなり、新規ドライバーが減少する」という反対意見が。ある委員は、「ドライバー人口が減っているのに、さらに門戸を狭めるのは自らクビを絞めるようなもの。この委員会は間口を広げる策を考えるはずでは」と述べ、これに対して「レベルを下げると多く採れるが、すぐに辞める者も多く、何より事故率が高くなる。我慢してハードルを上げた方が定着率も上がり、結果的に経営が楽になる」と返す委員もいた。

 同案では、「既存のドライバーも新免許取得のために講習受講などの新たな負担が発生する」というデメリットの存在も確認されており、最終的に国交省に提出することになる取りまとめ案に含めるかどうか、次回の会議に持ち越しとなった。

 新たなドライバーへの表彰制度については、Gマーク取得事業者の優良ドライバーを認定する案と、デジタコやドラレコを活用してドライバーを評価・表彰する案が出された。しかし、Gマーク案には、「対象者が限定されてしまう」や「国による認定・表彰制度の方が望ましい」という意見が。デジタコなどの機器を活用する案には、「装着していない車両のドライバーは対象外になってしまう」「メーカーや機種ごとの基準の統一が必要」など、大きな課題が存在していることが報告された。また、「航空機のパイロットのように、『無事故1万km』などと評価すれば良いのでは」との意見も出された。

 同委員会では、次回の第5回で骨子をとりまとめ、行政へ報告する予定。
                    (08/02/29)
<記事提供:物流ウィークリー


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