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 国交省 「荷主への勧告」を拡大適用へ
 国交省は、現在「過積載」に限って適用している「荷主への勧告」を、「過労運転」「速度違反」などに拡大適用する方針を固めた。安全運行パートナーシップ・ガイドラインで示した「荷主の行動がトラック事業者の安全を阻害する主なケース」の5事例すべてを対象に、貨物自動車運送事業法第64条に基づく「勧告」処分を適用できるようにする。具体的な事例を取りまとめ、運用方策を決定次第、年内にも各運輸局に通達、実施する構えだ。

 過労運転や速度違反については昨年、国の運行管理体制の拡充・強化対策で、事業者や運行管理者の処分は強化されたが、背景にある「荷主の責任」については不明確なままだった。同省は、現在検討中の「下請・荷主適正取引推進ガイドラインにも反映させる」としている。

 安全運行パートナーシップ・ガイドラインは、「荷主の行動がトラック事業者の安全を阻害するケース」として(1)積み込み前に運送する貨物量を増やすよう急な依頼、(2)安全運行確保への荷主の無配慮、(3)恒常的な手持ち時間の発生、(4)到着時間の遅れに対するペナルティの付与、(5)安全の確保が困難な無理な運行依頼の5事例を挙げている。

 一方、現実の違反で「荷主による命令または指示」が明らかになった場合、法律に基づく「荷主への勧告」が適用されるのは「過積載」のみ。ガイドラインとの整合性を図るためにも、過積載以外の違反について荷主勧告を拡大・適用することになった。

 「5項目を基本にすれば、速度違反の強要、過労運転に対する無言の圧力など過積載以外の違反もすべて網羅できる。輸送の安全をしっかり確保するためにも、勧告の適用拡大は必要」と同省。

 現行の過積載に対する行政処分では、荷主による命令などが認められた場合、再発防止を目的に当該荷主には「協力要請文」を発出。3回目で「勧告」となり、社名が公表されることになっているが、実際に「勧告」されたケースはまだ1件もない。

 「力関係で『お前が余計なことしゃべった』と取引に影響が出たケースもないとは言い切れないが、協力要請文でかなり過積載が減ったことは事実」と、関運局の担当官は効果を期待する。また、事業者団体の幹部は「勧告に罰則規定はないが、社会的にコンプライアンスが重視される今、影に隠れてしまいがちな荷主の責任に少しでも近付くことができる。トラック業界には朗報だ」と話している。
                    (08/02/08)
<記事提供:物流ウィークリー


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