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埼玉県 「目視」で排ガス調査
 首都圏で実施しているディーゼル車運行規制で埼玉県は、条例の基準値を満たしていないDPFがないか、性能検査を独自で行う。

 同検査は、県職員が県内のトラックとバスの事業所に出向き、排ガスの黒さを黒煙チャートと照らし合わせて目視で確認するというもの。
  100台程度のDPFを調べる予定で、「既に検査を開始しており、終了まで3か月ほどかかる」(県青空再生課)という。

 一見、排ガス規制の事後チェック体制を強化したかに見える、この検査に対し、「単なるパフォーマンスに過ぎず、実効性はほとんどない」と批判する業界関係者もいる。

 同検査は「黒い煙を吐いているトラックが走っている」という県民の声や、「実際に排ガスを測定していない検査で、規制の実効性が保てるのか」という県会議員の指摘を受け、上田清司知事がトップダウンで実施を決定。

 7月に行われた3回の知事会見では「(黒煙の)指摘がある以上、無視するわけにはいかない。県でできる検証をさせていただく」など、繰り返し検査を行う必要性を説いていた。

 しかし、この検査はあくまで目視に頼る主観的なもの。
八都県市粒子状物質減少装置の指定要綱に沿った検査を行うどころか、一般に出回っている黒煙測定器(スモークメーター)を使用することもなく、DPFが規制に適合した性能を持っているか、客観的なデータを調べるものではない。


 青空再生課では、「県にはDPFの性能を調べる能力がないので、できることをやろうとすると、このような形の検査となる。県がDPFの性能をどうこうするのは、権限を超えることとなる」とし、「従って、DPFにこだわる検査ではなく、エンジンを含めた車全体の整備状況や、装置のアフターメンテナンスを、メーカーが指導しているかなどに焦点を当てるものになる」と説明する。


 あまりに黒煙を多く出す場合については、「再度、整備状況を確認し、装置がおかしいとなればメーカーと相談する」としている。

 このような検査に対し、ある事業者は、「三井物産のように指定と異なった仕様のDPFや、不正改造をしているDPFがないかを調べる気がないなら、検査する意味がない。

 黒煙が出ているのは、メンテナンス状況ではなく、装置の性能に起因する場合が多いはずだ。そもそもDPFの性能を調べる手段がないのに検査を行うことに、何の意味があるのか。ただのパフォーマンスだ」と批判的だ。

 実際、黒煙を吐きながら県内を走っているトラックが少なからず存在していることは周知の事実なのだが、県には規制の実効性を高めるための抜本的な取り組みを望む声が多い。      
                         
(05/08/24)
<記事提供:物流ウィークリー


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