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兵庫県 県外からの違反通行車両が15倍に
 古い大型ディーゼル車の運行を規制する兵庫県の環境確保条例の違反して通行する車両が増加傾向を示している。とくに、「自動車NOx・PM法」の規制対象地域外にある県外車両の増加が著しく、条例施行直後の15倍以上の違反車両が見つかっている。ただ、県当局の対応は鈍く、運送会社からは県への批判の声が強まっている。

 県は、東南部の阪神地域で「自動車NOX・PM法」に準じた運行規制条例を04年10月から実施している。初度登録から一定期間を過ぎた8トン以上の大型ディーゼル車は阪神地域の3市(尼崎、芦屋、伊丹)の全域と2市(神戸、西宮)の一部での運行はできないとするものだ。

 ただ、阪神地域と隣接地域との間に物理的な「関所」はなく、条例に実効性があるかは疑問とされていたのも事実だった。
 
 この対策として登場したのが、排ガスによる沿道被害が多いとされる国道43号線などの歩道橋上から見下ろす形で設置するビデオカメラだった。通行車のナンバープレートをすべて撮影し、自動的にコンピュータに取り込む仕組みによって、膨大な通行車両のなかから違反車両を網羅的に把握しようとした。毎月4万から5万台程度撮影し、今年9月までの2年間で約103万台の通行の適否が判断された。

 撮影は抜き打ちで行われているが、阪神地域の出入り口すべてに常時カメラが設置されているわけではない。月に2回程度、1回あたり2時間から3時間カメラが回る仕組みで、「網羅的」とは言いがたい。

 こうした体制上の問題は、違反車両の増加という形で顕在化してきている。違反車両の割合が条例施行後の15倍以上にもなってきていることが県のカメラ検査の結果で出ていることだ。とくに、県外車両の増加率が高くなっている。県も「県より西日本の車が8割以上を占める」と分析している。

 条例施行後の1年間で、県外車の違反車両は対象車のなかで0.1%に過ぎなかったが、今年9月の1か月間は1.6%に増加している。こうした状況は予測されたことで、条例にも指導や罰則規定が設けられている。

 指導について県は、1回目の違反が見つかった時には警告、2回目、3回目には誓約書や改善報告を提出させていると説明する。しかし、4回目以降の対応策については公表していない。罰則については、警察などの捜査機関に告発した事例はまだないと説明している。大気課は「これ以上の説明は手の内を見せることになる。見せしめ的に告発することは考えていない」と話し、告発すべき事案がないとの見方を示している。

 ただ、排ガス対策済みの事業者からは「不公平を助長させる」などとして県に毅然とした対応をとるよう迫る意見が根強い。
                    (06/12/22)
<記事提供:物流ウィークリー


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