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 追いやられるトラック DPFで理解得られず
 黄砂とPM2.5の飛来がニュースとなり、マスクをした人が街にあふれている。耳慣れない言葉とされるものの、粒子状物質のPMと聞けば運送事業者なら、すぐにディーゼル車規制やDPFを連想するのではなかろうか。10年程前のDPF装着義務付けでは多くの事業者が負担増で苦労した。だが、法令順守を貫いた努力は大気環境の改善に効果を上げ、トラックは今や環境取り組みの先駆者ともいえる。しかし、本来の正しい使用に欠かせないDPF再生(燃焼)処理は理解を得られず、場合によっては荷主の構内からも追いやられているトラックもある。

 DPFは不具合を指摘する事業者も多く、全ト協では昨年6月に使用実態調査を行って国交省に装置の改善に関する申し入れを実施。今年2月にはホームページ上に「DPF不具合情報ホットライン」を開設している。国交省では当面の対応として、DPF搭載の使用過程ディーゼル車について、低速走行が多い場合や手動再生を実施しない場合に、PMがDPF内にたまりPM除去のアイドリング時間が長くなったりエンジンが停止するなどの事例が報告されているとして、正しい使用方法について周知している。その一つは、走行方法によって自動再生では再生が完了しない場合に運転席のインジケーターランプが点滅して手動再生が必要になるということだ。

 しかし、装置の使用方法は理解していても、実施するタイミングや場所がない場合も多々あるようだ。

 関東地方のある事業者は、荷主から「物流センター構内でのDPF燃焼処理の禁止」というルールを徹底された。低速走行が多く、荷主先に到着のタイミングで手動再生ランプが点滅。構内で待っている間に手動で燃焼処理ができれば効率がよいが、荷主がそれを禁じた。DPF再生処理中のアイドリングは、普段よりさらに大きな音や臭いがする場合があり、周辺の住民から「アイドリング音がうるさい」という苦情があったからだ。荷主側は環境対策の装置であることに理解を求めるのではなく、出入りするトラックに構内でDPF再生処理することを禁じた。

 別の事業者の場合は、ドライバーが昼休みにコンビニで弁当を買って食べている間に手動でDPF再生処理を行っていた。ところが、トラックのアイドリング音に気がついた客や店舗スタッフから、無駄なアイドリングを止めるように注意を受けてしまったという。必要な操作であることを説明しても、理解されなければ場所を移すほかない。ジャストインタイムの時間に追われながら、つかの間の休息を使っての努力は認められることなく、迷惑行為として捉えられてしまった。

(13/06/28)



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