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 災害時専門家派遣 緊急物資輸送の混乱ふまえ
 東日本大震災から2年。国交省でも災害に強い物流システムの構築に向けて動きがスタートしている。全国のト協との協定も積極的に進められており、輸送協定は昨年度末に42か所だった協定締結が45か所に、専門家派遣協定も21か所から29か所(倉庫協会含む)に増加している。専門家派遣は現在、20か所で検討中で、災害時における物流業界の重要性が認識されつつある。

 緊急物資輸送では、岩手県では当初、一次物資集積拠点として盛岡市内の農協関係施設を予定していたが、大量の物資を受け付ける施設ではなかったため、岩手ト協との協議により滝沢村にある岩手産業文化センターを一次物資集積拠点として定めなおしている。

 また宮城県では、情報の共有が不十分だったため事前の調整や情報の明示もなく、各倉庫に支援物資が届けられた。その結果、「品目別に拠点で対応する」という当初の想定通りにはいかなかった。また、倉庫内の支援物資が荷崩れしたため積み直しのスペースが必要となり、物資集積拠点としての機能を維持できなくなったことから、支援物資の新規受け入れを停止している。

 各物資集積拠点で当初は職員が物資の搬入、仕分け、配送業務を実施することとなったが、物流に関するノウハウがなかったため混乱が生じた。その後、物流事業者に業務委託したことで運営が円滑になったという。

 大規模な災害時には物流専門家の派遣がカギになる。具体的にはどのような人物が派遣されるのだろうか。国交省物流産業室では「現場を仕切れる人が必要。国交省側が決めるのではなく、現場で決めていただくことになるが、現段階でマニュアルはない」という。

 では、派遣する側はどのように考えているのだろうか。今月中にも滋賀県と派遣協定を締結する予定の滋ト協では、「具体的に誰を派遣するのかは決まっていない。これから調整するが、倉庫協会や全国物流ネットワーク協会を含めて、一体となって進めていく」としている。

 専門家派遣協定は「今年度中の締結に向けて、動きが活発化している」という声もある。実際に大規模災害が発生した場合、物流の専門家がいないとどのような混乱に陥るかは、東日本大震災で目の当たりにしている。それだけに、一刻も早い具体的な協議がのぞまれるところだ。

(13/04/12)



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