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 法令順守支える下請け事業者ら
 同業者でありながら、元請けと下請けという間柄で理不尽な要求に耐えている事業者がいる。神奈川県のある事業者は、数年にわたり、労働時間などをめぐる従業員との労働裁判で苦しんできた。
 コストに見合わない条件で仕事を出してきた元請けにも要因はあるのだが、元請け側の改善はいまだされていない。同事業者は「我々は元請けができない仕事をやっている自負があった。それを踏み台にするような荷主や元請けは断ることにした。荷主を選ばざるをえない時代になった」と話している。
 この事業者は以前から労働時間の問題に頭を悩ませてきた。行政機関などにも相談したが「労働時間を守れないならば仕事をシェアすればいい」というアドバイスだった。同事業者は「それは机上の空論。実際には一運行いくらの運賃でもらっている。その運賃から出せる給料は月給30万円程。その仕事を二人でシェアすると一人あたり15万円ずつになる。果たして月給15万円で入ってくる人がいるだろうか」と話す。
 労働時間問題になかなか解決策を見いだせずにいた同社で、従業員の一部が超過労働や残業代未払い請求などの裁判を起こしてきた。裁判は大変だったが、なんとか和解金で解決の方向を見いだせたという。
 そうした問題が解決した後で、元請けの事業者から連絡があった。それは「別の下請け事業者が労働裁判で訴えられたからお宅の経験を教えてやってほしい」というものだった。同じ元請けで複数の下請けが労働裁判になるならば、要因を探れば元請けにも原因があったことは容易に分かる。
 しかし条件を見直すのではなく、同事業者の裁判の経験を別の事業者に教えるという理不尽な要求だった。「元請けはISOなども持っているが、そのために実運送は下請けに出すようになっている。自分のところでできない仕事を下請けにだして成り立っているが、自分のところさえよければ下請けはどうなってもよい、という元請けとはやっていけない」という同事業者。燃料の高騰もあり、この元請けからの仕事は撤退したと話す。

(12/06/01)



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