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「自動運転」実用化めざす 人材不足に悩む事業者が期待

 必要最低限のドライバーで、最大の効果が期待できるという「トラックの自動運転」。ドライバー不足に悩むトラック運送業界にとって夢のような車両と言えるだろう。中小企業の経営者からは「トラックはあるが、ドライバーがいない」「いい仕事の話があっても、ドライバーがいないので見送ることになった」という声を聞くことが多い昨今だけに、自動運転にかける期待は大きい。


 今年に入って行われた「大型トラックの自動運転・隊列走行実験」で、車間距離4mの隊列走行に成功したNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)では、「車間距離が4mになると、他の車両が入ってこられなくなる。先行車両だけにドライバーを乗せたモデルでは、2030年頃の実用化をめざしている」という。今後の課題として、「実験は高速道路を想定しているが、物流の専用道路ということにもなるかもしれない。イメージ的にはJR貨物の車両。今後、まだまだ法的な話が残されているので、いまはまだ実験車両としてメーカーさんにプロトタイプを作っていただき、数多い実証実験が必要になるだろう」と指摘する。


 車両の自動走行に取り組んでいるのは日本だけではない。国交省の「国内外における自動運転の取り組み概要」によると、米国・国防総省や同グーグル社が07年までにロボットカーによる公道での自動運転を実験。ヨーロッパでは、欧州フレームワークであるSARTREで09年から12年に一般道で自動運転による隊列走行を実験している。


 車両の自動化に向けて大きく動き出しているものの、安全面での課題も少なくない。国交省の「オートパイロットに関する検討会」では、昨年6月から4回の検討会を実施。自動運転の安全性や実現性についての議論が進められており、今夏には中間とりまとめが出される予定だ。


 先月に開催された第4回検討会の議事概要によると、参加者から「自動運転の高度化は、運転時の疲労緩和、ヒヤリハットなどの安全運転支援、燃費向上など、利用者にとって十分価値がある。今後、高齢者などの運転が得意ではない層への展開や渋滞対策など、社会問題の解決のため早急に実現させる必要がある」との意見が出た一方、「運転支援の割合が高くなると、ドライバーは何もすることがなく眠くなると考えられる。ドライバーの覚醒状態を検知し警告することと、警告しても対応しない場合に制御し事故を防止するという2段階のバリアを設けるべき。ただ、覚醒状態の検知は困難で、何らかの工夫が必要」と、安全面に対する意見も出ている。


 実用化されればトラック運送業界が受けるメリットは大きい。今後の動きに注目したい。



(13/11/15)
<記事提供:物流ウィークリー



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