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長時間労働者へ医師の面接指導 申し出しやすい環境を

 トラックドライバーの長時間労働による病気が数多く報告される。脳・心臓疾患など死亡災害につながるケースもあり、労働災害防止の上でも長時間労働とドライバーの健康管理は重要だ。脳・心臓疾患の発症を予防するために、長時間労働で疲労が蓄積した労働者には、医師による面接指導を実施することが義務付けられている。これには労働者からの申し出が必要だが、申し出しやすい職場の環境作りも必要だという。


 運送事業者を何社か訪ねてドライバーの健康管理を聞いていると、脳梗塞などで倒れたという話に「ウチでもあった」と話題が出てくる。ある事業者で聞いたケースは、朝は普通に出かけていったドライバーが途中で音信不通になった。会社に電話をかけてきたが「自分がどこにいるかわからない」と会話が成り立たない状態で、警察にも連絡して捜索したが、最終的にはドライバーの自宅前にトラックが置いてあるのが発見され本人がいた。脳疾患で意識が朦朧(もうろう)となり判断力が低下した中で、やっと帰ってきたという。


 脳・心臓疾患は毎年の健康診断で正常でも、突然に発症することがある。そのために、厚労省と各地方労働局では長時間労働者への医師による面接指導制度を実施している。罰則はないものの、定められた労働時間などによって労働者の申し出があった場合に、医師による面接指導を受けさせる必要がある。


 一方、労働者から「医師の面接指導を受けたい」とは言えないケースもある。神奈川労働局の担当者は「少々つらくても頑張ってしまう人は言い出しにくいのではないか。そういう人は、脳・心臓疾患に気がつかないこともある。会社のために真面目に頑張っている人が、申し出しやすい環境作りも大切」と話す。


 その一つは社内での健康チェックリストなどだ。ドライバー本人が言い出さなくても、一定の労働時間を超えたら自動的に体調を尋ねるチェック表やアンケートなどを実施する仕組みを社内に作ることだという。「最近眠れますか」「疲れを感じますか」など簡単な項目を記入する中で「医師による面接指導を希望しますか」という項目を入れて、ドライバーが自然に申し出て面接指導を受けやすいようにしている事業者もあるという。



(13/11/08)
<記事提供:物流ウィークリー



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