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荷主の効率化でトラック非効率に 食品業界の再編加速

 24時間365日、荷物が途切れることはなく、これまで安定感抜群といわれた食品輸送だが、荷主の再編加速で、そのしわ寄せに泣く事業者の姿も目立ち始めてきた。


 「極端にいえば、『昨日まで荷主だったのに今日はもう違う』という、そんな目まぐるしさがある」と指摘するのは、首都圏で食品輸送を手掛ける事業者。チルドや冷凍、ドライも手掛け、車両は数百台にのぼる。


 同社社長によると、直荷主だと1案件で取引高が年間、億を超えるのはざらだという。その仕事が、いとも簡単になくなってしまう。「一概にはいえないが、昔ほどの安定感はなく、大きなリスクが増えているのが現状だ」と話す。


 その上で、「これからは物流センターなどの施設を持った大手の強みが発揮される時代が間違いなくやってくる」とし、「我々中堅規模は、大手の下で生き残るか、強い荷主を見つけるか、その選択が重要になるのではないか」と、危機感を募らせている。


 一方、同じく首都圏で食品輸送を手掛ける他の事業者は、荷主の突然の物流再編によって、非効率な輸送を強いられているという。それまで、同社では本社近くの物流センターで荷物を積み、配送を手掛けていた。しかし、荷主企業が合併し、効率化を図るため、物流再編を行った。結果、物流センターの集約が行われたのだ。


 同社は、否応なく積む場所の変更を余儀なくされた。それまでわずか数キロ地点にあった積み荷場所が、3倍以上に遠のいたという。遠くなった分だけ時間はかかり、燃料消費も多くなる。大きな痛手となったが、影響はそれだけではなかった。


 物流センターの集約で大型物流センターが稼働し、毎日多くのトラックが積み込みや積み下ろしにやってくる。そのため、待ち時間ができてしまうのだ。「これまでなら待ち時間もなくスムーズに積み込みができたが、今はタイムロスに泣かされている」という。荷主の効率化を図った物流再編は、同社にとってはタイムロスと燃料コスト増というダブルパンチとなって被害をこうむってしまった。


 「(当社としての)立場がある以上、仕方がない」とあきらめる同社長は、「センター近くに営業所を開設するなど、対応策を考えている」と話している。



(13/11/01)
<記事提供:物流ウィークリー



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