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特車許可取得違反が常態化 罰則強化で混乱招く

 国交省は今年3月から特殊車両の通行における取り締まりや罰則強化を実施している。特殊車両は国や地方自治体など道路管理者の許可を受けての走行が義務付けられている。しかし、周知徹底が図られていないのが現状で、依然として重量制限を超過した車両の通行の実態がある。


 罰則の強化では、これまで警告を発出していただけだったが、違反を繰り返す事業者に対し、ホームページによる社名公表を加えた。ただ、特殊車両に対する事業者の認識不足もあり、十分な理解が得られていないことも実情で、違反が常態化する原因ともなっている。


 特殊車両は、幅2.5メートル、長さ12メートル、高さ3.8メートルなどの車両の長さや高さと、総重量20トン、軸重10トンなどの重さによって判別される。決められた制限を超える車両は特殊車両として扱われ、道路管理者の許可のもとで道路を通行しなければならない。


 業界では特殊車両=トレーラという認識が一般だが、制限を超えれば特殊車両になるので、単車も特殊車両になる。特に最近、主流になってきている大型増トン車は、総重量20トンをオーバーするため、特殊車両に含まれる。


 ただ、高速道路や幹線道路などの重さ指定道路では、平成5年の車両制限令の改正で総重量最大25トンまで引き上げられたため、それに収まる大型増トン車は許可なく通行できる。しかし、それ以外の道路では当然、道路管理者の許可が必要となる。


 今回、国交省が強化したのは、通行許可を取得せずに通行する事業者をはじめ、許可重量の超過や、総重量超過など、車両制限令に違反する事業者への取り締まりでは、事業所への立ち入り検査などの実施。罰則では、これまでの警告の発出に加え、違反を繰り返す事業者には、呼び出しを繰り返したのち、ホームページによる社名の公表も行っていく。


 特殊車両として認識されているトレーラなどでは、ある程度の周知徹底が進んでいるが、問題は特殊車両として認識されていない大型増トン車などの単車だ。許可が必要な道路を通行する場合、一つひとつ許可を取得しなければならなくなる。


 大型増トン車を保有する東京都内の事業者は、「ルート配送ならまだしも、緊急性の高いスポット輸送では、いちいち許可を取得している時間はない」と指摘する。


 総重量20トン超えの車両が特殊車両になるということは今に始まったことではなく、昔から規定されているが、実質、違反者に対する罰則がなく、周知徹底がなされてこなかった。そのため、大型増トン車などの単車が特殊車両になるということが、事業者の間に浸透してこなかったのも背景にはあるようだ。



(13/10/25)
<記事提供:物流ウィークリー



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